遊び歳時記(春夏秋冬)
 
          
子ども達は冬休みが終わり、学校がはじまりました。
大人は仕事始めから多忙な毎日を過ごされておられるかもしれませんね。
一年の良いスタートをきっておられると思います。
 ♪d(´▽`)b♪

今回は、前回に綴った「心に残ったアクティビティ」の続き。
そして前々回にふれた「アクティビティの場面設定」についてをもう少し詳しく!というリクエストをいただいたので、追記したいと思います。
長文お許しください m(_ _)m
 
心に残るアクティビティ ■主張をどう受け止めるか■ つづき
+゜。* 前回からの続きです。*。゜+

40分ほど後、もう一度どうするかを相談する時がやってきました。
「さっきTくんは、一人で遊園地に行って汽車に乗りたいって言ってたけど、どうしようか!? mは一緒に行きますか?」と投げかけてみました。
すると・・・「はい」のYESのサインが返ってきた。あらら、最初の「一人で行きたい」という主張と違っていたのです。「お母さんは?」の問いにもYESのサイン。
「本当に?一人で行くのはあきらめたの?」に対しては、NOのサインでした。少しニヤリとした表情を見せたので「もしかして冗談言ってた?」と聞くと、とぼけるような表情でYESのサインが返ってきたのでした。
 これまでは、強い主張の時は貫き通すことがほとんどで、時々mと保護者に説得をされてあきらめるというパターンでした。
だから説得をしていない今回は、やっぱり主張をなんとか通すだろうと予想をしていました。

それが、あっさり主張を撤回し「冗談だよ」と・・・。
(最初のあの真剣な主張は、冗談だとは思えないのですが。)
 Tくんの真意は分かりかねます。しかし、前に同じようにガラリと主張が変わったことがありました。その時と今回の共通点を思い返してみると、こちらが本人の意向を一旦、受け入れたということ。そして、それじゃあどうしたらいいかを一緒に考えたことでした。
 
 重度重複の子どもは、なかなか自分の意見を述べる機会が少ないと思われます。それは「あなたはどう思う?」など、自分の意見や意向を聞いてもらうチャンスがそもそも少ない。そのため、(ごく親しい人以外には)決まっている事に合わせることが当たりまえの子がたくさんいます。
 もし自分の意向と違っていても、ワァワァ騒いで自分なりに不満を訴える、聞いてもらえないだろうと最初から諦めている、困り笑い、などの表現だとしたら・・・周囲は「言いたいことがある」とは理解し難い状況になってしまいます。
 だから、できれば幼少期から自分で決める練習、自分が外界に発信して影響があるということを本人が実感することが大切なんだと思います。日常の各場面で、遊びの中で、周囲は小さな発信を注意深く読み取り、エイドを工夫していけます。けっしてわがままに育てるのではありません。発信できるようになったら、場面に応じて折り合いをつけることを学びます。

 さてTくんの結末は・・・
みんなで遊園地へ車で行きました。チケットはTくんがステップbyステップでまとめて買ってくれました。そして汽車の乗り物では、mと保護者はTくんと別の座席ブロックで離れて座りました。(乗り込む前に「やっぱり一人で座る?」と聞くと「Yes」のサインでした)
 Tくんは終始ごきげんで、周りの景色をとてもよく眺めていました。実はもう一度乗りたそうでしたが、寒さに堪え兼ねた大人に「もう、帰りたい。」と言われ残念そうにOKしました。
 
自分の思い込みに気づく
年初めのKちゃんとのアクティビティは、あみあみでスマホケース作りでした。
毛糸部分の編みを1スイッチで出来るようにしています。まずは、毛糸の色と飾りのボタンを選んでもらいます。
予想していた明るい色目ではなく、シックな落ち着いた色の毛糸を選びました。ボタンも同系色です。

こういう事をきっかけに本人の意外な一面を知ることが出来るんですね。

 
追記:アクティビティの場面設定
 アクティビティでの場面設定は、決められた場面で筋書き通り行うという意味合いとはすこし違います。指示の通り、決められた通りの活動では「受動的な内容」になる可能性が高くなるからです。
 基本的に本人の能動性を育てることが目的なので、場面や活動内容はある程度は設定しておきますが、実際の活動の中では本人が選び、そして決定していくことを尊重するように柔軟に対応します。

ではアクティビティの場面設定とは、例えば、「買い物」の場合では・・・・

ステップ1:買いたいものをあらかじめ決めて買い物をする。または、買うリストをあらかじめ明確に決めておつかいをする。

ステップ2:お店で買いたい物を自分で選んで買い物をする。または、だいたいの品目を聞いてどの種類にするかはお店で自分で選んでおつかいをしてくる。

ステップ3:店員さんに商品の置き場所をたずねたり、おすすめの品はどれですか?などやりとりを交えながら買い物やおつかいをする。

ステップ4:電話注文をしてそれを配達してもらう(出前)。または受け取りにいく。


という具合に内容の難易度を考えながら場面をあらかじめ設定しておき、設定を組み替えて可変ができるようにしておくことです。
 最初のステップでは、本人が出来そうな事、得意そうな事、興味や関心が持てる事を十分に配慮することがポイントです。これらは「小さな成功体験」を積み重ねるためです。

 また、事前のロールプレイ練習ではうまく出来ても、途中で忘れてしまったり、焦ってしまったり、集中できなくなったりなどの何らかのアクシデントは起こりうると考えておきます。そのため、想定外のことが起こった時にどうサポートするかの対策も出来る限り考えておくようにしています。(現実は予想をはるかに超えたアクシデントが待っていることがあります。しかしそこで支援者側に強引に合わさせて予定通り成し遂げる事に固執してしまうと、結局は本人の気持ちやその時どうしてそういう事が起こってしまったかを把握できないままになってしまいます。そしてまたどこかで、同じ事を繰り返す、あるいはもっとねじれた状態になって再現される可能性があります。また何の問題もなく終わるように支援者がコントロールしたり、先々手を出しすぎて補うことも違うと考えています。アクシデントやうまくいかないことがあるのは自然なことだと受け止めて、その壁を乗り越える事をサポートするようにしています。)


例えば、こんな事がありました。
 ワークショップで知り合ったKくんはおしゃべりでのコミュニケーションが難しい小学一年生でした。脳性まひの彼は車いすで全介助。会話の理解はわかっている時とそうでない時が半々ぐらいです。会話補助装置ステップbyステップを使う練習のためにワークショップへ参加していました。
 ケーキが大好きと知った支援者チーム(ワークショップ参加者)は、デパ地下のスイーツ売り場でケーキを買ってくることをアクティビティに選びました。買い物には支援者が2人付きサポートすることになりました。
 アクティビティの内容としては、ケーキを3つK君が選び、注文のメッセージを支援者がステップbyステップへ登録したら、それを使って店員さんに注文をするというものでした。
 わくわくした様子でKくんはデパートに到着してロールプレイ練習を数回おこなったそうです。誰もがうまくいくと思っていたところ、アクシデントが起こりました。

撮っておいたビデオを見せてもらうと・・・
 K君がケーキのショーケースを前にして支援者がケーキを指差しながらどんなケーキがあるかを説明しているうちに顔が曇り、表情が固まりました。しかしそれは一瞬で、すぐに笑顔の表情に戻りました。
どんなケーキがあるかの説明が10分後に終わり、いよいよという段階で起こったのです。
 K君はケーキを選ぶ事ができませんでした。kくんは手をあげることで「Yes」、表情で「No」のサインを表現していました。
一つ一つ指差しながら「チョコケーキ?」という具合にたずねても「これにする」という決定のサインが出ませんでした。
 焦った支援者は時間をかけてまたより丁寧にケーキの説明をしました。でも、K君の反応は変わりません。支援者は、好きなケーキがここのお店に無いのでは?と考え、別のお店に移ってみたり、気分を変えようと少し辺りをぐるっと回ったりしました。
 保護者に聞くと「いつも食べている種類は並んでいるし、特別苦手なケーキはありません。どうしたんだろう。」とのこと。そして「ケーキを自分で選んで買うのは初めてだけど、買い物には付いて来た事が何度もある。」と付け加えました。

 なんだかんだで1時間以上過ぎ、結局、もう一度ケーキの選択をトライし始めたらK君は突然、泣き出してしまいました。あわてた支援者チームは、もう大人でケーキを選び、Kくんは情動がおさまらないまま泣き続けながら、それでも注文はしたかったようで、ステップbyステップで注文を伝え買い物を終えました。

このアクティビティは途中でどうサポートしたら良かったのでしょうか?
 戻った支援者チームの振り返りでは、車いすのKくんにとってショーケースのケーキは見えづらかったのかもしれない、自分で選んで買うという初めてのことで緊張してしまったのかもしれない、という仮説を述べてくれました。

 そこでmが本人と話して確認してみると、いろいろあげた理由ではなく「自分でもなんでかわからん(わからない)」で「はい」のサインを伝えてくれました。


 
アクティビティの設定場面 〜手だてを講じる〜
それでは、mならこんな時どうするか。きっとこうする手だては次のような内容です。

1. まず「迷ってる?」「ほしいのが無い?」と本人に聞き、状況の確認をして様子をみます。

2. 迷っているなら「おすすめをきいてみようか?」(ステップbyステップに「おすすめのケーキはどれですか?」とメッセージをその場で録音する。店員か保護者や一緒にいるもう一人の支援者に質問してみようと促す)、「どれにしようかな・・・・♪で決める?」、「◯◯さんに決めてもらう?」、「一口食べてみる?」(好きそうなのを2・3個買って、みんなで試食して決める)


3.「欲しいのがない」なら・・・
「別のものを買う?買いたいものはありますか?」、「今日はやめておく?」

4. その他mの経験では、買って帰ってあげたい人がいてどれが良いか迷っている場合や喫茶店に行くつもり(食べて帰る)だったという場合もありました。案外本人に聞いてみるとそんな理由があったんだ!ということがあるんです。


 問題が起こった時、手だてを講じるためには、決めたことをその手順でやり通すことにとらわれてはいけません。本人の様子を細かく観ておきましょう。
 内容の方向転換をするタイミングについては、また別の機会にふれたいと思います。(これがなかなか簡単じゃなくて苦戦するんですよね。でも重要だと思います。)

 
2014年 新春のm日記です。
 
明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
心に残るアクティビティ ■主張をどう受け止めるか■
屋内での活動が中心になる時期ですが、先日、心に残る個別セッションがありました。長年のお付き合いになるT君とのこと。彼は重度重複で全介助、おしゃべりも難しいためステップbyステップで発信を行い、YesやNoは表情や身体の一部を使ってサインを表現しています。

 この日のアクティビティの内容は、私が準備したiPadを使う内容と、もう一つはT君のやりたい事をしようと考えていました。説明を終え、「やりたいことはありますか?」の問いかけに早速「ある!」のYesサインが返ってきました。

そこで、いろいろ質問していくと、どうやら近くの遊園地に自分一人で行って、汽車のアトラクションも一人で乗りたいと言うのです。「一人で!」と言うのは初めてのことで、たいへん驚きました。同時にこんな主張もするようになったんだと思うと、うれしい気持ちになりました。
しかし、ここからどう話し合うかが支援者として問われるところです。
その日は異常寒波が到来していて、とても冷たい風が吹いていました。遊園地に行くだけでも大変そうなことなのに「一人で!」とは、どうしたものか・・・。
2、3度聞き直してもやっぱり「一人で!」と主張しています。

「そんなの無理」と言って却下してしまうのは簡単です。それに思春期に入り、表立って能動的に活動することを拒否することが多くなっていたので、久しぶりに見せたせっかくの主張をつぶしてしまうようにも感じました。
そこで「もし遊園地に行くなら、一人でどうやって行くの?」と投げかけてみました。そう聞かれて本人は固まっている様子で、しばらく反応がありませんでした。

「遊園地まで行く方法は3つかな。お母さんに車で送ってもらう。mが車いすを押して一緒に行く(20分くらいの道のり)。一人でバスに乗って行く。どうかな?」車いすタクシーは直ぐは頼めない。結局、バスもちょうどいい便がありませんでした。

 また、汽車のアトラクションにT君が一人で乗れるかわからないのでステップbyステップ(メッセージを登録しておく会話補助装置)で係りの人に自分で質問することが必要だと伝えました。
彼は考え込んでいる様子でした。そこで先にiPadの活動をしてそのあともう一度、相談することにしました。

さぁ、どう折り合いがついていくのか・・・ 
★この結末のつづきは次回に★
 
冬のイベント
最近、個別セッションが土日に集中しているため、イベント開催がなかなか開催できない状態です。
イベント参加を楽しみににしていただいている皆様、チャンスを作って必ず行いますので、もうしばらくお待ちください。
(*˘︶˘*).。.:*
 
お手伝いしていただける方を募集中です
2月バレンタインデーにむけて、クッキング教室「マフィンでバレンタイン」を企画中です。
クッキング教室の裏方をお手伝いいただける方、興味があるから手伝ってみたいという方、ご連絡をお待ちしております。一緒にアクティビティを楽しみましょう。
(❁´◡`❁)*✲゜*
 
2013年も残すところ、あとわずかになりました!
今年はじめにm日記の方は宮崎美和子のFacebookへ
移行しましたが、どうも敷居が高いというコメントを
ちらほらいただきまして、こちらで復活することにしました!
久々の年末m日記です。



 
今日12月25日はメリークリスマス  (❁´◡`❁)*✲゜*そして・・・
なんと、こころ工房の開業記念日です。
18年になりました。
こんな日に開業したのもわくわく💖が大好きなこころ工房らしいと思います。
ここまで続いてこられたのは、歴代スタッフ、縁を結んでいただいた皆様のおかげです。
ありがとうございます!
19年めもよろしくお願いいたします。

 
2013年を振り返ると・・・
2年前より初心に戻り、個別セッションに重点をおいて活動しています。
重度重複のお子さんメインで関わっていますが、今年からタイプが広がってきています。

低学年のお子さんはごっこ遊びを通してコミュニケーションの発信練習をしたり、年齢問わずクッキングや創作活動も体験する機会を作っています。
また街に出かけて自分で買い物をしたり、交通機関を利用する練習は、本人の能動性や意欲が高まることが多いです。その様子を目の当たりにすると、体験学習の大切さを実感します。

しかしここ数年の間、支援者として以前と違うことも感じています。
なんでもとにかく体験すれば良いわけではない、という事です。たのしい活動は自然に本人の力を引き出してくれることは確かです。けれども、それは普段日常での小さなやりとり練習や、場面設定を設計する支援がしっかりあってこそだと感じるようになってきました。場面設定というのは、決められた場面で筋書き通り行うという事ではありません。それではどちらかと言えば、指示の通り、決められた通りの活動で「受動的な内容」になる可能性が高くなります。基本的に本人の能動性を育てることが目的なので、場面は設定しますが本人が選び、そして決定していくように気をつけています。

しかし選択することは、重度の子どもにとって容易なことではありません。そのため、まず意欲を育て、能動的な発信や共感性を高めるようにアクティビティの活動を計画します。同時に関わり方の工夫を行い、決定することからはじめ、次に選ぶことを教えて練習をしていきます。

それがあると、ひとつひとつのアクティビティという点が線となって、コミュニケーションの力につながっていきます。


現在のこころ工房でのセッションは・・・
実態把握→体験学習の実支援→結果分析と仮説、今後の課題立案→アクティビティの設計→体験学習の実支援
これを一つのアクティビティ、セッションごとに行っています。
 
2013年を振り返ると2
さて、こころ工房で取り扱うコミュニケーションエイドの数々。
今年一番人気は「6ゴートークワン」でした。
使い始めの人には1メッセージの手軽さ、そしてサイズが良いそうです。
VOCAを使い慣れている人には+ワンのメッセージが欲しい時に便利、また通常とは別のメッセージが欲しい時にすばやく用意できることが好評なようです。
 
そして来年☆ですが・・・
引き続き、個別セッションに力を注ぎたいと思います。
また、今年は支援者向けのセミナーやワークショップを久しぶりに企画していこうかと考えております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。
(◡‿◡。)